2004年07月07日
『家族という名の孤独』 斎藤 学著

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062564610/tyosyakaranom-22
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● 著者はどんなひと?
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何年か前に「アダルトチルドレン」という言葉をはやらせた人。
精神科医。アルコール依存、児童虐待、拒食症に取り組む。ものす
ごくヘビーな感情渦巻く人々の処置をしているという、私にしたら
「凄いコトを受け止めてやっている」としか言いようがない。
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● 本書の内容は?
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「健全な家族」という神話は存在しないと、本書のタイトルに書い
てあった。
日本での「健全な家族」というイメージは、必ずしも家族おのおの
の幸せになっていないかもしれないのだ。
精神科医の書いた、「ほんとは怖い家族」。
【1】家族はなぜあるのか?
家族というと、「メンバーの欲求を、一緒に住むことで満たすグル
ープ」。しかし、筆者の体験では、安心してすめるどころか殴られ
たり、殴ったりする関係がずっと続いている悲惨な家族も多い。
となると、この「欲求」というのは、おカネの面や、家族愛のよう
なものだけでは、ワカラない。
制度としての家庭は父親が中心。そのホンネは、男にとっての家族
のメリットは自分の世話焼きをしてくれる「おふくろ」を持ちつづ
けられるというものだ。
つまり男は奥さんの「母性」につけこんでいる。
しかし、メリットが夫だけでは、この制度は続かない。メンバーそ
れぞれになにかホンネのメリットがあるのだ。
アルコール依存症は、いつも酔っ払っているのではなくて、アタマ
の中が酔うことばかり考えているような状態だ。
これと同じように家族の維持ばかり優先にして、おのおのの感情や
欲求を抑圧しているような状態を「家族依存症」だと考える。
ホンネのメリットがあるので、家族を維持しようとして、個人を逆
に殺してしまう。そんな「家族依存症」が日本の家庭には多い。
【2】女にとっての家族のメリット
男は女の母性につけ込んでいるが、女の側も子供やダンナを世話し
、そのことでコントロールする支配権を確立する。これが女の側の
メリット。
極端な例では、妻となる女性の中には「愛しすぎる女性」がいる。
この人たちは、問題のある男性といっしょになって、その世話を焼
くことで自分の心の満足を得ようとする。
こういう人にはアル中、麻薬中毒などのパートナーが引っ付く。彼
女たちはこういう依存症の人から離されて1人になると孤独感で、
パニックになる。
このような愛しすぎる女性は、親から受けた傷を相手を世話するこ
とで癒そうとしているのだ。
男の社会は「オレはお前より偉い」という順位付けの世界だ。男は
他の男の順位争いに疲れる。
女は他人との関係作りが男よりはるかにうまい。その作った人間関
係の中に安らぎを見つけようとする。
【3】アダルトチルドレンな子供たち。
子供は自分のいる場所を快適にしようとする本能を持つようだ。
親同士がいがみ合ったり、暴力があると、勉強でいい成績をとって
ヒーローになったり、反対に問題児になって、自分が目をひきつけ
てそれを解消しようとする。
例えば、アル中の父をもつ娘。
子供は夫に困らされている母を喜ばそうとしていい子になり、母も
それを期待する。しかしそれで、自分を第一に考えられない人間関
係のパターンを習得してしまい、子供も母と同じような人生を繰り
返してしまう。
アル中の父をもつ娘がアル中とまた結婚したり、その祖母もまたア
ル中と結婚していたことがあるケースはよくある。
このような親の期待や考え方に拘束されている人をアダルトチルド
レンという。
彼らは「親の不幸は期待にそえられなかった私のせい」などと心の
奥底で思っている。星 飛雄馬みたいなもの。こういう人たちは親
に人生をのっとられている。
特に、母と娘は同質であるがゆえに、母は自分の苦しみや喜びを当
然、娘も感じていると勘違いする。だから過剰に「いい子」である
よう期待する。娘もそう思うものだ。
母親のグチや、その期待に沿うようガンバリすぎると、親の人生に
付き合わされてしまうことになる。本当はいずれ自分のために生き
なければいけないのだ。
【4】健全なる家庭
本来、子供も15歳で生殖能力をもち、大人といえる。男もも女も外
に恋する対象を見出して出て行くものだ。
息子は思春期に同性の親友とともに男の子同盟へ入っていき、ある
種の軍隊のような組織を作る。そこで順列や縄張り、そして恋愛も
学ぶ。今はこれが学校で行われている。
娘は、もっとはっきり恋愛の対象を見つけて家離れしようとする。
中学校でのいじめやサツバツとした関係は、順位付けされたり、劣
者のものを辱めることをさせられる思春期特有のものだ。
子供は、時にはここから逃げないと他の大切なアイデンティティが
壊されることすらある。
登校拒否はそれに対する「ノー」というメッセージだ。
学校だけがすべてではない。「横並び健全志向」の親が子供たちの
ここからの脱出を阻んでいる。
利発、活発、子供を大切にする家の子が増えると、逆にそうでない
子を排除しようとする動きが強くなってくる。センセイもこれに加
担する。
「健全な親子関係」では、健全な母たちが子供に献身して、子供を
縛る。夫に献身して過労するまでに追い詰めている。
【5】家族は他人のはじまり
日本で一般に健全といわれる親子は、逆に子供が母親から離れるこ
とに失敗していると思える。
だから、その後子供は幼児っぽいのに男らしいフリをするため、表
面的な男らしさを求める。学力だったり、資格だったり、筋肉であ
ったり。
しかしそんな、中途半端な男性が大学を出ると、さらにバーチャル
おふくろとして、企業が抱擁してくれている。
男は、企業に没頭していく。上司に喜ばれ、同僚に迷惑をかけない
ように、家族の期待を裏切らないように努力して、しまいには倒れ
るのだ。
中高年のリストラで、男が母親企業から放り出されたり、家庭内暴
力などが、「健全な家庭」のひずみや問題点を示している。
子供が15歳になったら、一人前の大人として扱い、子離れしよう。
子供が離れれば家族は夫婦だけとなり、ふたたび、自分たちの異性
のパートナーとしての面を見直そう。
子供は親の期待から離れて自分の人生を持とう。
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● 本書の「学び」
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この本の学びは「幸せ家族の常識は非常識」だ。
生きていくなかで、自分の幸福像を持ちたいと思っている。よくあ
る、成功法則のアレですね。
幸福であることには、いくつか要素がある。
収入であったり、世間に対して何らかの足跡を残すことであったり
、友人とのネットワークだったりするが、最も重要なのは、パート
ナーを含む家族との人間関係だろう。
起業したり、金儲けしたりすることが、結果としてこれらの家族と
の関係を悪化させることも多々あるそうだ。
起業しなくても、サラリーマンでそこそこの収入をもっていても、
子供と意思疎通できなかったり、夫婦の会話がないような状態であ
ったり。
残念なことに、この本は「うちは普通の家族」という家ですら、う
まくいかなくなるタネを内臓していることを示している。
ちなみに私のうちも「フツーで健全」です。
子供のため、亭主のため、家族のためと思って犠牲にしていること
がみんなのためにならないとしたら?
いい家にすんで、奥さんは家事、旦那は仕事に没頭、子供たちはい
い学校で勉強に励む、という常識。
常識が非常識になりつつある状況が、いろんなジャンルでおきてい
る。よもや自分の足元でもとは!
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この記事へのコメント
1. Posted by
大野 明子
2006年03月27日 21:38








