2004年06月11日

『東西古今 人間学』 城野 宏著

(本の表紙絵ありませーん)


人間学とは、人が何かを成し遂げるために必要な動き方や、基本的
な態度の研究。ひとつの成功法則と考えてもいい。
本書では、みんな知っている古今東西の英雄で事例分析

【1】人の行動パターンはどうやって決まる?

人の行動は脳みその働きによる。脳からでる結論は周囲の客観的な
条件と、自分自身が持っている考え方で決まってくる。

客観的な条件というのは、自身を取り囲む周囲のあり方であったり
、時代的な技術の制限や、相手のある場合にはそのようすもその一
つだ。

この条件をどうやって感知するか、ということも大切なポイントで
、情報を集める行動そのものになる。

自分自身のもっている考え方というのは、なにかを成し遂げるため
の戦略だ。例えば、会社であればビジネスを拡大していくのか、現
状維持するのかという方針に相当する。

英雄であっても、凡人であっても、この基本は変わらない。ただ、
その戦略のサイズや情報の集め方が変わるだけだ。

【2】成功する人物の条件とは?

人間を評価する基準は5つあり、さらに3つの成果がある。

まず、理論や戦略を持っていること。多数の人に呼びかけて継続的
な活動をしないと、何かをなすことはない。だからその場限りでな
い理論を持っていること。

次に、判断材料が確定的な事実に基づくこと。自分で見聞きしたこ
と、試したこと、調べてみたことから本物の事実を取り上げてくる
こと。ここがいい加減だと、有効な戦術ができない。

3つ目は本音のところでの意気込みがあること。4つ目に実際の成
果を出しているか。そして、5つ目は次の方策を持っていること。

成果は売上額など物質的な量で見てはいけない。物資的な量はその
人一だけで成し遂げたとはいえないからだ。

本当に見るべき成果は3つ。1つ目は本人が変化を遂げて、現状打
破をしているか。2つ目は本人が変わることによって、他人を変え
ているか。これは基本になる人間関係をつくる能力でもある。

最後はこの変えた他人を組織化して、継続的に動かすことができる
かだ。

【3】英雄 織田信長はどうだったか?

織田信長は桶狭間の奇襲作戦や、小説から見ると短気な猛将として
思われている。

ところが、事実を見ていくと実は科学的な計算のできる人であるこ
とがわかる。

桶狭間の戦いでは、こちら三千の兵力で先方は10倍近い大軍。こ
こで彼は戦術的な判断以前に、戦略として「戦う」と決める。

まず戦略を決める。勝てるかどうか戦術から考えても、小手先、目
前の判断しか出ない。

次に勝つ戦術作りの情報を集める。地形、気象、相手の指揮官の性
格、軍隊の性格を見る。その結果、休憩地点で今川の本陣のみを奇
襲するという戦術が生まれる。

それ以後、信長は危険な奇襲作戦を一切行わず、大軍で相手すると
いう原則で戦っている。

戦略をもち、確定的な事実を集めて判断し、そして成果をもったの
だ。

【4】では英雄、毛沢東は

毛沢東も同じく、成功する人物の要件を備えていた。

中国の統一という戦略、目標を掲げ、そのために、実際に動員しよ
うとした農村の人々の悩みを聞いた。

理論を展開する本も書いたが、実際は農民の「食べていけない」と
いう悩みをよく把握して、これを解消することに努めた。

対決する蒋介石の国民党軍が都会を中心に戦略を掲げたのに対して
、圧倒的多数の農民を組織した。もちろん人心も把握したから、国
民党軍の様子を探らせることもできた。

確定的な事実を集めて、戦術を展開した。

ところが、失敗しだすのは、共産党の机上の空論である文化大革命
のようなことを始めたからだ。

確定的な事実から離れだすと、うまくいかなくなったのだ。

これらの行動の本質は、信長だから、毛沢東だからできた事ではな
い。凡人にもできる。

戦略をもち、足や口をつかって、確定的な事実をつかんで戦術を得
て、実行することだ。やさしいこと、できることからでかまわない
のだ。


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●  本書の学び
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本書の学びは「なにかを達成したければ、人の欲求を満たすことか
ら」だ。

毛沢東は、巨大な中国の統一を行うにあたって、最初にその人口の
大もとになる、農村へ行った。

農村の人たちとハラを割って話すためだ。そして知ったのは、貧農
は苦しみ、食べていくことができなくて苦しんでいることだ。

この貧農を組織化するために、毛沢東は地主をおそって、その食物
を分け与えた。それをみて貧農は毛沢東のところならば食えるとい
って集まってきた。

ここの大切なポイントは、彼は決して「共産主義とは」と大演説を
ぶって組織化しようとしたのではないということだ。

モノを売って、営業規模を拡大したければ、個々のお客さんの本当
の欲求を満たしていかなければならない。いかにいい商品やサービ
スを開発したと胸をはっても仕方がないのだ。

同じように、事業戦略を高らかにぶち上げるだけでは同僚は動いて
くれない。

彼らの持っている欲求を満たしてあげることで、組織としての活動
が円滑にできるようにならないと、組織としての仕事はおぼつかな
いのだ。

理論、戦略を持った上で、確定的な事実をつかむ。このとき、動か
したい相手の本当の欲求を見つけ出すことがとても大切だ。



tatsux at 07:20 │Comments(0)TrackBack(0)

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